ARTIST
アーティスト
ピアニスト
屋野 晴香
兵庫県立西宮高等学校音楽科を経て東京芸術大学音楽学部楽理科卒業。ウィーン国立音楽大学ピアノ室内楽科に留学、同大学・同大学院ともに最優秀の成績で修了。修士号を取得。さらにポストグラデュエイト課程及びECMA(ヨーロッパ室内楽アカデミー)のオーディションに合格し、研鑽を積む。
ウィーン楽友協会主催の若手演奏家シリーズに抜擢され、楽友協会ホールにリサイタルデビュー。ヨーロッパ各地でリサイタルに招聘され演奏会に出演した他、2017年には演奏がオーストリア国営放送ORFにてラジオ放送された。在学中よりティンウェイ・チェン(フルート・トーンキュンストラー管弦楽団首席奏者)、ソフィア・メサロシュ(チェロ・ウィーン交響楽団)とともにトリオを結成し活動する他、ドーラ・シュヴァルツベルグ、ヘルベルト・ケーファー、ルドルフ・レオポルド各氏とも共演。
第4回 “Youth Academy Award” 国際コンクール(イタリア) ピアノソロ部門 第3位、 第12回”Don Vincenzo Vitti” 国際コンクール(イタリア)室内楽部門にて、ヴァイオリンとのデュオで優勝。 第6回”Euterpe ”国際コンクール ソロピアノ部門 第2位。2015年第5回 “Andrea Baldi 国際コンクール”第1位、Circolo della Musica Bolognaの招聘により、イタリア・ボローニャにてソロリサイタルを行う。
帰国後は2018年度あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール「フェニックス・エヴォリューション・シリーズ」に選出され、ソロリサイタルを開催。2019年、セレーノ・ミュージックレーベルより1stソロCD《Souvenir》(スーヴニール)をリリース。
これまでにピアノを片岡みどり、岡田敦子、植田定和、アヴェディス・クユムジャン、テレーザ・レオポルド、パウル・グルダ各氏に、室内楽をヨハネス・マイスル、ゴットリープ・ヨハネス・ポコルニー各氏、歌曲伴奏をダビッド・ルッツ、器楽伴奏法をヘルベルト・リュディサー各氏に師事。
演奏活動の他、2017年帰国後より全日本ピアノ指導者協会ピティナ「ピアノ・ステップ」にてステップアドバイザーを務める。2020年度より東京芸術大学音楽学部教育研究助手。
母に手をひっぱられてようやくピアノから離れるくらい、楽しくやっていたそうです。
―音楽を始めたきっかけを教えてください。
幼稚園の頃にお友達のお姉さんがピアノを習っているのを見て、私もやりたいと言い出したそうです。最初の先生は声楽科出身の明るい方で、その頃のレッスンは楽しい思い出しかありません。先生に子供の頃の私の事をきいてみたところ、スポーツも大好きな活発で負けず嫌いな頑張り屋さんだったから、誰よりも厳しい課題を与えていたのよと仰っていて、先生がアメとムチをうまく使い分けて下さったようです(笑)登園前に自らピアノに向かい、遅刻するよ!と母に手をひっぱられてようやく離れるくらい、楽しくやっていたそうです。
―音楽家を志した経緯も教えてもらえますか?
小学校低学年の頃にグランドピアノを買ってもらい、その頃から自然とこの道に進むものだと思っていました。住んでいた兵庫県の県立高校の音楽科に進学し、はじめて音楽を専門とする仲間とアンサンブルをする機会を得ました。それまでソロの個人レッスンしか受けたことがなかったので、高校の時にその魅力を知ったことは大きかったなと今振り返って感じます。その後東京藝術大学に進学したのをきっかけに上京し、毎年東京にいらしていた私の師匠、ウィーン国立音楽大学のピアノ室内楽科で教鞭をとられていたアヴェディス・クユムジャン教授とご縁があって留学しました。練習とレッスンとリハーサルに明け暮れ、夜はコンサート、オペラ、バレエを鑑賞するか、自分が演奏しに行くか。そんな音楽漬けの日々を送りました。ウィーン音大を卒業した頃には、楽友協会で組んでいたトリオで単独のリサイタルを開催して頂く機会を頂くなど、小さな頃の夢を少しずつ叶えてきました。
音楽に対してさらに多角的にアプローチして、
発信していきたい気持ちが強くなっています
―現在の活動を教えてください。
2017年の夏に帰国して日本での活動を始めました。2020年からは母校の東京藝術大学に勤務させて頂いています。音楽を志す学生達に、私が学んできた事を少しでも多く伝えられたらと思いながら仕事をしています。大学で教えることも目標のひとつにしていましたので、そのスタートを切る機会を頂けたことにとても感謝しています。私はウィーンで室内楽を重点的に学ぶ機会を得られたので、今後は特に、弦楽器や管楽器の学生さんに対してピアノを通したサポートを、それからピアノ科の学生さんに対してもアンサンブルピアノや声楽伴奏の指導をしたいなと考えています。
―これからの活動についても教えてください。
今後は演奏を軸にしながら、様々なセミナーも企画していきたいと考えています。コンサートはなるべくトークで曲目についての情報を盛り込んだり、プログラムノートも全て自分で執筆しているのですが、言語化することで自分の考えも整理されますし、言葉でアウトプットすることで聴き手の皆様にも、より伝わるのではないかと考えるようになりました。そのためには研究のための時間と体力も必要になってきますが、音楽に対してさらに多角的にアプローチして、発信していきたい気持ちが強くなっています。