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アーティストを支える人たち

Liuteria-BATO

弦楽器専門店

Liuteria-BATO

~古きよきもの、新しきよきものを求めて~
1979年に大阪で弦楽器BATOとしてスタートされたLiuteria-BATO(リウテリア バト)さん。
オールド・モダンのバイオリン・ビオラ・チェロなどの弦楽器を種類豊富に提供される専門店です。

Liuteria-BATO

お届けするのは、心震わす感動です

―お店について、教えてください。

 リウテリアとは、「バイオリンのお店」という意味のイタリア語です。バイオリンなど弦楽器のおおもとであるリュートを語源としています。

 1979年に父が独立開業し、製作、修理・調整や販売を行っています。令和元年5月1日、令和の幕開けと同時に社長交代しました。弟とともに、学んだ知識や情報を共有して、互いに技術をぬすみあいながら品質を高めています。ショーケース代わりにもなっている大きな窓際に吊るしているのは、製作した楽器や、修理や調整のために演奏家さんからお預かりしているものもあります。

―修理や調整を任される、演奏家さんの命綱ですね

 天候や季節によって状態が変化するのが、天然の木材で作られたバイオリンの特徴です。演奏する環境によっても鳴り方が変わる楽器なので、日々の調整から、練習室やホールなどシーンに合わせて調整しています。ソロを弾くためのセッティングもあります。

 演奏技術と同じように楽器の調整は大切なんです。「こうしてほしい」という演奏家さんの要望は聞いてあげたいですね。

 良い状態で弾いてもらうために定期的に調整させてもらうと、いろんなところで使ってもらいながら、ちょっとした傷も味になっていくっていう、手がけた楽器の育っていく過程を見られることは嬉しいですね。

Liuteria-BATO

生き続ける楽器への、終わりなき探求

―バイオリン製作はどのように行っているのですか?

 作りたいイメージに向かって手を入れながら突き詰めていく感じですね。一台作るのに2~3か月です。

 一台一台にベストを尽くしながらも新たな発見があるので、次々に作りたいイメージが湧いてきます。例えばバイオリンというのは曲線の世界なので、ちょっとしたラインのふくらみにもこだわりたくなる。削り方によって、弾き心地や体へのなじみ方が変わってきます。また製作工程が多い分、調整やニスの樹脂の配合や、変化させられるポイントがたくさんあります。だから自分の中では“完成”という言葉はないですね。無限に作り続けたいなと思います。

―唯一無二のバイオリンが生まれているのですね。

 材料の木もさまざまです。海外に出向いた時に選んで買って来るのですが、古ければ良いということもなくて、新しくても良いものは良い。私の師匠から譲り受けた、50年くらい経っている材木もあります。購入したらシーズニングといって、少し木を寝かせます。この工房に置いておくと、木にいろんな音を聞かせられます。木の組織は変化するので、振動が木に影響を与えるという説もあるのです。

―まるで生きているようですね。

 そうですね。例えば作りたての楽器って、ストレスがかかっているので音色が硬い。削ったうえに圧をかけて接着して留めていくので、木が我慢しているのです。それが、だんだん緊張が抜けていって、なじんでくるのです。新しい楽器は音の周波数の幅が狭いですが、経年によって深みや広がりが出て、木が鳴っている音がするんです。私が製作したバイオリンは、私が亡くなった後のことはわかりませんが、本当はその状態を知りたいです。楽器は、代々受け継がれながら何百年と生き続けるものなのです。

ご縁に磨かれるBATOスタイル

―なぜバイオリン製作の道に進まれたのですか?

 この世界には行ったのは高校を卒業後です。小学生の頃、バイオリンをイヤイヤながら習わされていましたが、ものづくりが好きだったこともあり、父の立ち上げた工房で修理・調整の手伝いを始めました。バイオリン製作学校ができたので、製作の道に進むことに決めました。初めて作ったバイオリンに、すぐに買い手がついた時には嬉しくて、意欲が湧きましたね。

 以来、いろんなつながりで買っていただいていますが、ご縁に恵まれているなと思います。バイオリニストの葉加瀬太郎さんにも購入いただきました。バイオリンは製作者が分かる、確かなもの。生きているうちは製作者みずからがメンテナンスできます。続けることの重要さを感じますね。

―こだわりはありますか?

 うーん、こだわりというか、習ってきた系統が出ているかなと思います。私の通った学校の創設者がイタリアのクレモナで製作されていたので、私も卒業後に出向いて、そのマエストロ(師匠)から学びました。ですので、師を通じて特徴が出ているかな。ハンドメイドゆえに製作スタイルが少しずつ異なるので、バイオリンを見れば、フランスとかドイツとか、あの人の弟子っぽいな、という違いがあります。

―手作りの尊さをあらためて感じます。

 工房の雰囲気を味わいに、気軽に遊びに来てもらいたいです。ひとつのバイオリンをとっても、奏でる演奏家によっても弓によっても、演奏スタイルや手の重さ、弾き方でも響き方が異なってきます。この界隈で、毎年10月に「北大江たそがれコンサート」というクラシックの催しが開催されています。どなたも音楽に親しんでいただけるのではないでしょうか。

Liuteria-BATO

音を感じる楽しさ、奏でる楽しさを

―演奏する方たちに思うことはありますか?

 とても演奏技術の高い演奏家さんがたくさんいるので、そういう人たちが活躍できる場、音を聴いてもらえる場が増えると良いなと思います。そして演奏活動を続けてほしい。楽器を始めたいという方には、アンサンブルの楽しさを味わってほしいですね。一人でレッスンを受けるのもよいですが、人と合わせて演奏すると、より楽しいと思います。

―音楽をもっと楽しんで聴くには?

 きっかけはインターネットやテレビであっても、ぜひ生の音を聴いてほしい。レコードとCDの味わいの違いを実感される方は多いと思いますけど、目の前で演奏される音は、耳で聴くというより体で受ける感覚なのです。体への伝わり方が全然違うんです。

 演奏会場では、その場の雰囲気も楽しめます。感動を周りのオーディエンスと共有できる、盛り上がりを一緒に体感することができます。一つとして同じ音はない音楽の楽しさを、体で感じていただければと思います。

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